個人事業主が法人を設立し、これまで個人で営んできた事業を設立した法人へ引き継ぐことを「法人成り」や「法人化」といいます。
ホームページからお問合せのお客様の中には開業したての個人事業主も多くおられ、その方が数年を経て事業を軌道に乗せると、法人成りを検討することとなります。
法人成りの検討に際しては税負担をシミュレートします。
個人事業の場合は所得税が課税され、法人の場合は法人税が課税されます。
所得税と法人税とではその計算方法が異なるので、直近の業績や近い将来の予測を加味して、両方の税負担の比較をするわけです。
シミュレートの結果、多くは法人化した方が税負担が減る結果となります。
ただし、近年は社会保険料の負担も考慮する必要があります。
そこで、法人成りの検討に際しては社会保険料の負担も併せてシミュレートするようにしています。
一定規模の個人事業の場合は国民年金と国民健康保険を負担し、法人の場合は厚生年金と健康保険を負担します。
また、法人の場合は従業員の社会保険料の半額も負担する必要があります。
シミュレートの結果、多くの場合は税負担の減少以上に社会保険料の負担が増えるので、税金と社会保険料を合わせたトータルの負担は増すこととなります。
この結果を受けて、お客様の経営者としての判断が分かれてきます。
法人化して取引先の信頼を厚くしたい、従業員の待遇を厚くしたいという佐賀市のお客様は法人化を選択されました。
これ以上事業を大きくするつもりはなく、純粋に税負担の軽減を図りたかった佐賀県のお客様は法人化を選択されませんでした。
経営者の置かれている状況を考慮した上でのご判断なので、正解は人それぞれだと思います。
また、社会保険料を、特に公的年金に着目して将来に向けた投資と考えるか、健康保険に着目して単なるコストと考えるかの考え方の問題ともいえるかもしれません。